HappyWoodブログ

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2008/1/27 日曜日

走ること 読みました

Filed under: books — happywood @ 0:11:45

 080127.JPG

走ることについて語るときに僕の語ること、やはり読んでしまいました。
最初にこの本を見た時、村上さんそのタイトルはないだろうって。
作品は短編集でも小説でもないし、長距離を走るなんて行為とはまったく無縁の
怠惰な自分としては、読まないつもりだったのに・・・

それは二十数年前、とあるアメリカの大学のブックストアーで
辞書なしで読めそうな本を探していた時のことです。
What We Talk About When We Talk About Love
(愛について語るときに我々の語ること)
という変なタイトルの薄い本を見付けました。
当時レイモンド・カーヴァーの名前など聞いたこともなく
ミニマリズムという難しい言葉も当然知りません。
ページを開くと会話文が多く、短編集というとっつきの良さと
何より2ドル95セントという安さに惹かれすぐ購入しました。
勿論読むのは想像以上に苦労しましたし、
今思えば登場人物達の感情の機微や葛藤などわかっていたかどうか。
それでも然したる事件もない田舎町の有り触れた日常のはずが
ちょっとした齟齬から落ち着かない気持ちにさせられたり
途方に暮れる様な結末に不安にさせられたり
その居心地の悪さが生意気にも新鮮だと感じたのでしょう。
Will You Please Be Quiet Please?(頼むから静かにしてくれ)も
すぐに買い込んで読むことになりました。
そして何年か後に忘れていたカーヴァーが雑誌で紹介されたり
村上氏の全訳シリーズが出版されて初めて
彼が思っていた以上に有名だと知りました。

走ること は、村上氏の年齢を重ねても走る事に対する真摯な姿勢を
崩さない様子と同時に、内なる才能を自覚した後も常に感覚を研ぎ澄ませ
自信に裏打ちされた作品を出し続けてきたこれまでが語られ
なるほどこのタイトルしかありえません。
畏れ入りましたという作品でした。
それにしても墓碑銘など考えたこともない凡人としては
数多ある本の中から天才達の作品に出会えた幸せを思うだけで
簡単に影響されてつい走ってみようかなどと考え始めてしまう
自分を厳しく戒めた方がよさそうです。

2008/1/6 日曜日

京極ワールド堪能しました

Filed under: その他 — happywood @ 16:47:17

       

ここ数年元旦の午後には初詣の後、家族で映画に行きます。
去年は武士の一分。そして今年は楽しみにしていた 魍魎のはこ

ストーリーは若い女性達が犠牲になる陰惨な事件を中心に進みますが
上海ロケが効果的なのか緻密な文章で構成された京極ワールドを
映像でより鮮明にスケール大きく見せてくれます。
何度か目を覆いたくなるシーンがあるもののテンポが良い前半に較べ
後半は正直少しだけ冗長な感じがしたのですが
それでも登場人物の特徴を捉えたさすがの豪華キャストで
映画を観終わってこれほど満足したのは久しぶり。
実は榎木津と久保の格闘シーンなど地元で撮影されたそうで
京極ファンとしては余計に愛着が湧いてきます。

一つ心配なのは続編が撮られるのかどうかということ。
狂骨の夢 は少し地味だし素人には映像化し難い様に思えます。
自分としてはシリーズ中最も好きな 鉄鼠の檻 を
早く美しい映像にして欲しいところ。
その際、榎木津はより奇矯に、関口はもっと全然頼りない振る舞いを
そして中善寺には原作に忠実な博覧強記ぶりと
鮮やかな憑き物落しを期待します。
このシリーズ一作毎に登場人物が重なって増える事を思うと
贅沢過ぎる期待でしょうか?
そういえば鵺の碑 も早く読みたいぞーっ!